Story
第6話「わたる」
廃棄区域の端に、細い橋がかかっている。スクラップをつなぎ合わせただけの歩行橋だった。
廃棄区域の端に、細い橋がかかっている。
スクラップを溶接してつなぎ合わせただけの、仮設の歩行橋。
ブリキ板は歪み、色もばらばらで、誰が作ったのかも分からない。
それでも、毎日だれかが渡っている。
「こちらが、いちばん近道です」
風が強い。
橋は軽く揺れていた。
ぼくは一歩、踏み出す。
キィ、と鳴る。
板が沈む。
下には、水と配線が絡み合った暗い空間。
上には、中層の光。
そのあいだを、歩く。
上空を輸送機が横切る。
低く、速い。
振動が足裏に伝わる。
体がふらりと傾く。
肩に、手。
「足元にお気をつけください」
うなずく。
途中、継ぎ足された板。
違う素材が無理に重ねられている。
脇に、小型ドローン。
赤い光が、ゆっくり明滅している。
「……まだ、動いているようですね」
しばらく見て、視線を戻す。
中層の巨大ホログラムが、一瞬だけ歪む。
笑顔が裂ける。
すぐ戻る。
橋が、もう一度きしむ。
足元に、細い亀裂。
風。
揺れ。
「大丈夫です。まだ、落ちません」
小さく息を吐く。
もう一歩、前へ。
きしみながら、橋はつづいていた。